シオノギファーマ株式会社
シオノギファーマ株式会社(以下、シオノギファーマ)では、製剤の連続生産技術を確立しています。この技術は、今後の医薬品の開発/製造のあり方を変える先進的な技術で、開発段階では製剤研究者が苦慮するスケールアップ検討が不要なこと、商用生産では柔軟な生産量の調整が可能なことなど、数多くのメリットが考えられます。特に、現在のような感染症リスクにさらされている社会の中では、医薬品不足のリスクを軽減し、緊急時の柔軟性を高める先進的製造は必要な技術であるとして、FDAも先進的な製造技術の使用促進に向けた考え方をブログ*1の中で示しています。
製剤の連続生産製造フローをイメージ化すると下図のようになります。秤量から打錠までを連続で進めることができ、各工程単位で製品品質を連続的にモニタリングしています。
連続生産設備は、開発段階においてスケールアップを必要としません。必要な製剤量に合わせて原薬を供給するだけですから、貴重で高額な原薬を大幅に削減することができます。商用生産に向けてもスケールアップの検討は不要で、開発期間の短縮や検討リソースの削減が期待できます。
また、商用生産以降も製剤量を連続的に可変させられるため、需要変動にはフレキシブルに対応することができます。
開発段階、商用生産のいずれにおいても、工程内試験をリアルタイムにモニタリングし連続的に工程を進めるため、時間的なロスがなく納期が短縮されます。同時に、各プロセスに組み込まれた計測機器類により、PAT(Process Analytical Technology)ツールを用いた製品の重要品質特性(CQA:Critical Quality Attribute)、もしくは重要物質特性(CMA:Critical Material Attribute)をリアルタイムにモニタリングすることで、製品品質を高度に保証します。
連続生産設備では、コンパクトな装置を連結して自動化しているため、省スペース化、省人化、人的エラーの回避、ならびに異物混入リスクの軽減など、多くの利点を有していますが、その一方で新たな設備投資が必要であること、PATツールを用いた高度な品質モニタリングシステムを構築する必要があること、承認申請の事例が少ないなどの課題点もあり、シオノギファーマが設備を導入し早期に承認申請の事例を取得することで、お客様のご要望にお応えしていきます。
シオノギファーマでは添付写真にある 「パウレック社製のCTS-MiGRA」 を導入し、治験薬製造から商用製造までを一気通貫で製造対応することができ、治験薬製造から商用生産への移行に伴うサイト変更での数多くの損失を防止することができます。
シオノギファーマは、お客様から信頼される 「技術開発型モノづくり企業(CDMO*2)」 となることをミッションとして掲げ、2019年4月1日より事業を開始しました。原薬の製造法開発および製剤処方開発から商用生産に加え、分析法開発や医薬エンジニアリング技術による設備設計サポートなどを含めた 「フルレンジサービス」 をワンストップでご提供できる体制を整えております。
*2 CDMO:Contract Development and Manufacturing Organization