シオノギファーマ株式会社
シオノギファーマ株式会社(以下、シオノギファーマ)は、国内に3つの工場と1つの治験薬製造拠点を有しています。それぞれ特色のある製造拠点ですが、いずれのサイトも、世界標準であるPIC/S GMPに準拠した堅牢な医薬品品質システム(Pharmaceutical Quality System:PQS)を構築し、患者様やお客様の「信頼」と「安心」に応えられる医薬品を、経済的かつ安定的に製造しグローバルに供給してきた実績があります。
今回は、海外査察の実績を含め、品質保証体制の改善への取り組みの一端を紹介させていただきます。
シオノギファーマは、原薬、非無菌製剤(錠剤)、無菌製剤(注射剤)を製造し、グローバルに供給しています。そのため、全ての工場において海外当局による査察経験を豊富に有しており、昨今、話題となっております製造環境モニタリングが重要な品質指標となる無菌製剤についても、FDAやEUからの査察に適合し、欧米に輸出してきた実績があります。
シオノギファーマでは、近年話題となったデータインテグリティをはじめ、最新のレギュレーション要求事項をPQSに取り入れ、継続的な改善を行うなどしてクオリティカルチャーを醸成しています。以下に、品質保証向上に向けた取り組みを示します。
シオノギファーマの試験検査体制のサンプリングからデータの保管までを下図に示しています。試験検査業務と記録はLIMSシステム※1で管理され、データの生成、変更、削除は全てオーディットトレイル※2(ログ)として記録が残ります。このログはオーディットトレイルレビューとして、通常の試験記録の照査とは別に、独立した品質保証部により照査され、データの信頼性を確保しています。また、試験記録はALCOA+※3の原則に基づいて作成・保管管理し、完全性を保証しています。
※1 Laboratory Information Management Systemの略。実験室内の試験業務を統合管理するシステム
※2 監査証跡 変更、削除といったような GMP 上クリティカルな情報の記録
※3 ALCOA+の原則
データインテグリティの基本原則である、A(Attributable)「帰属性」、L(Legible)「判読性」、C(Contemporaneous)「同時性」、
O(Original)「原本性」、A(Accurate)「正確性」に、C(Complete)「完璧性」、C(Consistent)「一貫性」、E(Enduring)
「永続性」、A(Available)「可用性」を追加したもの
シオノギファーマでは、ICH Q10※4の考え方に基づき、定期的にマネジメントレビューを実施しています。マネジメントレビューは、各工場の経営幹部に対するサイトマネジメントレビューと、社長を含む上級経営陣に対するトップマネジメントレビューの2段階で実施しており、それぞれのアウトプット事項は従業員全員にフィードバックされ、経営層を主体とした継続的な改善活動を行っています。
※ 4 https://www.pmda.go.jp/files/000156141.pdf(PDF)
「高品質な医薬品を安定的に供給する」という目指す姿を達成するため、品質目標KPI(Key Performance Indicator)を設定してモニタリングしています。また、現場の自主的な改善活動として、QCサークル活動やヒューマンエラー防止活動なども積極的に行い、米国FDAが提案しているQuality Metrics※5(クオリティメトリクス)についても自主的に指標を設定し、継続的なモニタリング・分析・改善というサイクルを推進するなど、常にクオリティカルチャーを醸成しています。
※ 5 FDAからドラフトガイダンスが出されていますがまだ最終化されていません。
https://www.fda.gov/drugs/pharmaceutical-quality-resources/quality-metrics-drug-manufacturing
シオノギファーマは、お客様から信頼される 「技術開発型モノづくり企業(CDMO※6)」 となることをミッションとして掲げ、2019年4月1日より事業を開始しました。原薬の製造法開発および製剤処方開発から商用生産に加え、分析法開発や医薬エンジニアリング技術による設備設計サポートなどを含めた 「フルレンジサービス」 をご提供できる体制を整えております。堅牢な品質保証体制によりお客様の安心を守ります。
※6 Contract Development Manufacturing Organization